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JOURNAL #17

頭の中のキャッシュ

プライベートな理由で温泉旅行に行ってきました。
(日記みたいですがすみません)

私が計画した旅ではなく、
体を休めるための旅館泊ということだったため困りました。

する事がないのです。

山間で電波もなく、足も無い。
完全に旅館の敷地内でスタンドアローンな状態です。

はじめは旅館の中をふらふらと探検してみたり、
やたらと色んなモノの仕組みを調べてみたり、
古旅館特有のチープなゲームセンターの景品をガラス越しに眺めたり、
外国人向けの張り紙を無駄に解読してみたり。

ほんとにする事が無かったのです。

もう諦めて部屋に戻り窓辺の椅子に腰掛けて中庭をぼーっと眺める。

ただひたすらにぼーっと。

雨音と川の流れる音が聞こえます。

葉っぱがちらちらと揺れています。

時々虫がガラスにぶつかり、また飛んでいきます。

いつの間にか暗くなって、灯篭から灯りが漏れています。

時々廊下を通る女性の声が聞こえます。

ガラスにイサムノグチ風の照明が映り続けています。

まぶたがゆっくり下がってきて、また開いたときには、また少し暗くなっています。

この辺りでやっともの凄く贅沢な時間を過ごしている事に気がつきました。

これまでは年齢的な事もあって
何かを目的とした旅行や旅ばかりしてきました。
まだまだ色々なものを見たいし食べたいし聞きたい。

しかし、ひょんな機会で私は2日間のほとんどを

同じ旅館の
同じ窓際の
同じ椅子で
同じ風景を眺めています。

日々膨大な情報にさらされる私たちは、
さながら頭の中のキャッシュがパンパンに詰まってしまっている様な環境で毎日を過ごしています。

ようはパソコンで記憶するか、頭で記憶するかという時代ですから。

これでは頭の回転もうまくいきませんね。

「キャッシュを空にする」しましょう。

今や電波が入らないエリアは非常に少ないです。

この旅のように「何もできない環境」というのは
便利な環境が整えば整うほど
とても貴重で稀な体験になっていきます。

帰ってきてパソコンの前に座りながら
改めていい旅行だったと実感しています。