WELD SUPPLY CO.
Journal #068

酢豚の中のパイナップル

※この文章は酢豚の中のパイナップルを「あり」としています。
「なし」の人はご不便をおかけしますが
どうかイマジネーションの中で別のものに置き換えて読んでください。
先週末は飯田クラフトに出店していました。
「顔から煙出てない?」と確認しあうほどの
とてつもない日差しにさらされましたが、
それでも昨年参加したイベントの中で最も楽しんだイベントだけあって
今回も大いに楽しむことができました。
2度参加してやっぱりこのイベントはいい。
イベントの関係者やボランティアスタッフ、
来場されるお客様、みんなとてつもなく清々しい印象。
無駄な気高さがなく、皆一様に生き生きとしているんです。
さすが「引っ越したい県No.1の長野県」といったところでしょうか。
去年参加した際にご購入頂いたり、お話しさせていただいたお客様も
多く来ていただいて賑やかにさせてもらいました。
去年のブログで書いた、私とハイタッチしてくださった奥様も来てくださいました。
わたし「あっ前回も来てくださいましたよね?あの関西の」
奥様「ちがうっ!私は長野。なーがーのーー!」
わたし「えっ今私、信州って言いませんでしたっけ?な、なんて、、ね」
雰囲気のいい奥様なのに、
あまりにノリが良くて私の頭の中で一年の熟成を経て関西出身になっていました。
失礼しました。
「それにしてもあんたたち、今回も全開ね!あははは」
とてつもなく気持ちがいい人。
「気持ちがいい」って魅力的です。
私たちもそんな人たちに憧れてか、お客様との接客では
八百屋のようなスタイルでお話しさせてもらっています。
もちろんブランドの雰囲気からすると
一般的には不釣り合いな接客に思われるかもしれませんが。
そうする理由は私の中で明確なきっかけがありました。
去年ニューヨークを訪れた際、一番行ってみたいお店がありました。
そこはもともと好きで日頃からHPをチェックしていて、
非常に洗練されていて格好良いんです。
もちろんクリエイティブ業界では有名なところ。
その日はいろいろリストアップしたお店を回っているうちに時間が過ぎてしまい
一番行きたかったそのお店に着く頃には閉店時間を過ぎて閉っていました。
しょんぼりして、
窓ガラス越しに商品や内装だけでも見ようと覗き込んでいると
奥から店主がこちらに向かってきました。
金髪で長身、まさにスマートなクリエーターといった風貌で
日本でチェックしていた印象通りの人間が近づいてくる。
しかしドアを開けるとその印象はガラッと変わりました。
満面の笑顔で、
「なんだ?なんか用か?まあとりあえず入れ」
「さんきゅう。商品見たい。中見たい。」
「OK、好きなだけ見ていけ。俺はここでレジ閉めしてるから」
「これ見たい」
「待っとけ、今出してやるから」
「いいね。これください。」
「はい、どうぞ」
「さんきゅう。それでは。」
「ちょっと待て、あれ、あれどこいったっけ、そこで待っとけよ。
そうそうこれこれ、あっこれもだ、 ほれ、持ってけ。おみあげにでもしろ。」
「おーさんきゅうさんきゅう。時間外だったのに悪いね」
「いいよ別に、またこいよ。」
私たちが抱いていたイメージとは懸け離れたその接客対応に、
商品や店舗雰囲気、ブランドイメージといった情報要素を飛び越えて、
私たちは、恋をしたのかもしれない。
(ちょっとキザな言い方ですが私の表現力ではこれが限界。。。)
見えない何かがあることをはっきりと自分の中に感じた瞬間でした。
【私の勝手な辞典】
「酢豚の中のパイナップル」
そこにあるにはどこか異質ではあるが均衡が保たれている、
もしくはそれ以上の魅力を醸し出す様
そのお店もただ洗練された商品やイメージ、シュッとした接客だけだったら
「やっぱりカッコよかったね」というところで
私たちの印象は止まっていたかもしれない。
でもそうではなかった。心を奪われた。。。
さらに1階層深いところに届けるためのパイナップルの存在。
パイナップルを加えても崩れないバランス感覚。
私たちもああゆうブランドになりたいし、日頃から少しずつでも実行しています。
(そうゆう性分なだけですが)
飾らず接客していることが功を奏してか
出店中に何かを買って戻ってきてくれるお客様がちらほらいたりします。
この飯田クラフトでもしばらく話した後、
後で戻ってきて
「はいこれ、向こうのパン屋さんで買って食べたんだけど、
すっごく美味しかったから」
とパンを手渡してくれた女性がいました。
すごく嬉しかったです。
それはもちろんパンをもらえたことが嬉しかったんじゃない。(めちゃくちゃ美味しかったですけど)
私たちのブースを離れた後も、
その人が私たちのことを一瞬でも考えてくれたことにです。
まだまだ全然だけど
小さなパイナップルが実っていたら、こんな嬉しいことはありません。
もちろん接客続きで昼食がとれていなかった私たちは、
池の鯉の如く、
ギブミーギブミー感を全開にして、ぺろりといただきました。
このイベントはまた、必ず出る。
なぜなら気持ちのいい奴らでいたいからです。

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