WELD SUPPLY CO.
Journal #060

何が残って何が残らないのか

休みが明けててからというもの、
すっごく寒くなりましたね。。。

そして今日は名古屋で初雪が降りました。

そんな中
今進行しているテーブルの最終の仕上がりを確認するために工房へ。

デザインを担当している私が職人の仕事に触れることはできないので
仕上がりを待つ間、工房の庭ですることの無い私は、
両手を前へ後ろへ振りながら、手をパチンパチンと鳴らし、
まさに暇な人をしていました。

雪が降ると必ず思い出す記憶の中の風景がある。

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

まだ小学5年生くらいの頃、
当時、私の両親は飲食店の自営業をしていたので夜は遅く、
9時ごろになると鍵を渡され
少し離れた家まで弟と二人で歩いて帰る毎日でした。

ちょうどその日は朝から雪が降り続き、
夜になって雪が止む頃にはコンクリートの杭の上には
丸い玉のような雪が積もるほどでした。

いつものように鍵を持って、
弟の手を引きお店を出ると
空は雲一つない深い深い濃紺で、
黄金の月明かりと雪の白さでやけに明るい夜でした。

当時お兄ちゃん意識が強かったのか、
親に絶対に弟の手を離さないことと言いつけられていたからか、
私はいつも何か緊張して夜道を帰っていました。

しかし弟は当時まだ小学校低学年。

いつもの曲がり道を超えたところで、
一瞬にして弟は私の手を振りほどき、
あたり一面の平坦な畑に降り積もった、
まだ誰も踏み入れた形跡のない雪の中へ駆け出しました。

私は言いつけが守れなかったからか、
思い通りいかなかったからか、

チェッと舌打ち。

ただ弟が走っていく後ろ姿をじっと見つめていたのを覚えています。

やけにスローモーションで、
その時鼻から息を吸い込んだことさえ覚えています。
鼻の奥がすーっと冷たくなったけど、
その夜はあれだけ雪が積もっていたのに寒くは感じなかった。

弟が畑の中心までたどり着くと
こっちを見てニタニタしながら、
次の瞬間、

「にぃーちゃーん」と叫んだと思ったら

思いっきり雪を空へかき上げました。

その時の月明かりと雪のキラキラ、弟のばんざいポーズが
鮮明に記憶に残っています。

色も匂いも温度も。

私は呼ばれたにもかかわらず、
おそらく言うことをきかなかった弟に、
すっと冷たい目線をしているのが自分でも分かった。

何かにつけて私のせいになることが不満な時期だったからです。

しかし私も小学生、雪の中で一人、飛んで転んで遊ぶ弟を見ているうちに
いてもたってもいられなくなり、
ついには弟のいる畑の真ん中まで駆け寄ったのでした。

それからは大声でふざけあいながら小1時間は遊んだと思います。

その後はどうなったか、
もちろんお店から父が出てきてドヤしつけられました。。。

もちろん兄の私だけ。。。

チェッと舌打ち。

横で汚い雪おにぎりをモグモグほうばっている弟、

「お前のせいだぞ」

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

誰にでも鮮明に覚えている記憶があると思います。
それはそれは楽しかったのでしょう。

誰かと会って話をする。それが誰かにとっての特別になることもあります。

今年もできる限り色々なところに行きたい。
そして色々な人と話したい。

だって人は記憶によって生きる生物なんだもん。

ぜひイベント会場などで見かけた際は話しかけてください。

私たちと話すと、

暇つぶしくらいにはなります◎

あっ

そうこうしているうちにテーブルが完成したようです。

はい、今行きます。

Back